最近ビデオで観て衝撃を受けました!当時の劇評や演出家の意図等が知りたくて、関連の「歌劇」も買いました。それだけ素晴らしい作品と思いました。明日海りおさんの、甘く美しいけれどプライドの高い、大人になりきれない屈折した清顕という人物像を良く表現してみえました。
どの役でもですが、特に明日海さんの目の演技が好きですね!また、この役の、常に死を意識している危うさ儚さ、それでいてサディスティックな面、反対に、周りの人を巻き込まずにはいられない依存的な甘えたな面。難しい人物像を美しく甘く残酷にまた儚く演じた明日海さんに脱帽です!
研10ですか。この時既に、エドガーもトート閣下もヴァルモン子爵もできる要素を兼ね備えていましたね!と、後からこの「春の雪」を観て思い、納得です!感情を歌に乗せるのも上手いんですよね。
「この作品をするなら明日海りお」と判断して温めていた生田大和先生に感服です!
先生の演出でもう一言追加。
劇中劇は原作は歌舞伎らしいですが、この作品ではカルメン。カルメンの歌で台詞を言わせ、三角関係の二重構造、更に、裁判のシーンにも清顕と聡子を幻想で登場させ、こちらは痴情のもつれで清顕が何度も刺される演出。聡子をめぐる宮様との三角関係をこのように二重にも三重にも重ね、自らの過ちが「死」で贖われることを暗示する演出は秀逸。