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ヤマトタケルの伝説や、熱田神宮にある草薙の剣にも触れており、古事記の世界観がうまく表現されていたように思いました。
ふるさとの大和に想いを馳せながら亡くなったヤマトタケル。ヤマトタケルから預けられた草薙の剣と共に、たとえヤマトタケルが亡くなろうともタケルの帰りを待ち続けるミヤズヒメの健気さが胸を打ちます。
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2000年公演の「あさきゆめみし」が、光源氏が流されていた明石からの帰京から始まるのに対して、2007年公演の「あさきゆめみしⅡ」の方は、光源氏が母親から死別するところから始まるので、原作本を読んでおられない方にも解かりやすかったのではないかと思いました。
2000年公演の「あさきゆめみし」の舞台写真が掲載されているのも懐かしく思いました。
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必ずしも勝者ばかりに光を当てるばかりではない、宝塚歌劇団らしい作品と言えます。時の権力者側から見ると敵対する勢力である東北の蝦夷。蝦夷の生活と誇りを守ろうとする阿弖流為たちと彼らに理解を示しつつも役目上、戦わざるを得なかった坂上田村麻呂の苦悩が表現されていて、理解しやすかったです。昔話では、悪路王などと言われて悪役にされている阿弖流為たちですが、近年では、地域を守ろうとした人物として評価が見直されているそうです。宝塚歌劇団の多彩な視点から、様々な作品に取り組む姿勢に改めて感嘆いたします。これからも、いろいろな作品が登場することを楽しみにしております。
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平安時代の伝説の多き人物「小野篁」を描いた作品です。
この世とあの世を自由に行き来きできたとの伝説が今も残る小野篁ですが、この作品は宝塚らしく恋愛も絡めてあります。
愛する「三の君」の命を救うため、小野篁に備わった特殊な能力を使ったため、「三の君」からは、小野篁との思い出が全て消えてしまうという悲恋となります。
しかし、思い出が全て消え去ったはずなのに、その後で小野篁を見た「三の君」は、なぜか涙を流していたように思います。このシーンが見る者の想像を掻き立てるところではないのでしょうか。
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宝塚歌劇団には珍しい室町時代、それも後南朝の頃を取り上げた作品です。
近年、織田信長もびっくりの恐怖政治を行った室町幕府将軍:足利義教や応仁の乱の書籍が売れているそうですが、それよりも前に、この時代に着目した宝塚の先生方の先見の明に驚かされました。宝塚歌劇団が取り上げる時代の幅の広さには、いつも驚かされます。歴史好きには、興味をそそる作品かも知れません。
今後とも、幅広い時代の作品をお願い申し上げます。
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2004年の「スサノオ」を中心とした舞台写真集(脚本付き)です。
日本神話を基にした舞台です。ヤマタノオロチを退治した後や、天岩戸を開けた後、スサノオが、自分の持つ強力な武力を使わない国造りを行う気持ちに到達するまでの、心の変遷が、よく表されていたと思います。スサノオの伴侶となるイナダヒメの存在も大きかったことがうかがわされます。
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2001年11月の星組「花の業平」の舞台写真集です。
この時期も、現在のルサンクの編集とは異なり、脚本は別売りになっています。
ただし、その分、舞台写真が多いような気がします。
脚本集と組み合わせて、読むと良いかもしれません。
在原業平と藤原高子の表情が、王朝ロマンに導いてくれるような感覚を覚えました。
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1993年の「うたかたの恋」などを中心とした舞台写真集です。
この作品は何回も再演されるだけあって、宝塚らしい美しさは変わらないと思います。
昨年、紅ゆずるさんをはじめとする星組で再演されていましたが、良い作品は、何回でも再演を重ねていっていただきたいものですね。
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ルサンクの初期の刊行のため、現在発刊されているものと形式が異なっておりますが、舞台写真の多さとストーリーの主要な場面(写真1枚ごと)にセリフがついているので、このような方式も舞台を実際見た方やビデオ鑑賞された方には、わかりやすいのではないかと思いました。
当時のビデオを見た後なので、懐かしさがこみ上げてきた、写真集でした。
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「あかねさす紫の花」などを中心に描かれていますが、美しい写真とわかりやすい文章で、額田王を巡る中大兄皇子と大海人皇子の心の葛藤と両者の間で揺れ動く額田王の心情が伝わってくる舞台写真集だと思います。
卒業された一路真輝さんや花總まりさんの魅力も余すところなく伝えることのできた写真集だと感じました。